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Ballade for Lost Waters_excerptTomoko Momiyama
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オランダでは、その土地に人が住み始めて以来ずっと水を支配し、海面下の環境と共生するために闘ってきた。13世紀には河川と海を引き離すために水路を管理する組織が作られている。700年にわたって堤防を築き、風車を建て、運河を発達させながら土地を干拓してきた結果、水たちはどうなったのだろう。
まだ生きている水を探して、水路や風車や港を巡り、ハーグ市内の水の中の声を聴いて回った。この旅で出会った水たちのために書いた歌が「Ballade for Lost Waters(迷子水のバラード)」である。
舞台上の打楽器奏者が水鏡によって幾重にも映し出される自分の影と対話する中、観客は沈黙を聴く。光と影と音と無音によって紡がれるビジュアル・サウンド・ポエトリーである。曲中では、1958年にオランダで発表された歌謡曲「Zuiderzeeballade(南海のバラード)」のメロディーを引用した。この歌詞の最後は下記のように結んでいる。
かつて、ここは荒れ狂う海だった。
でも時間が戻ることはない。
今、水は堤防の向こうに眠っている。
かつて、ここは洪水が襲う土地だった。
今、穀物はたわわに実り、収穫の海が広がっている。
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